価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

たてもの探訪「川崎市立日本民家園」

ここは神奈川県の川崎市にある「川崎市立日本民家園」。20棟を超える日本家屋が移築されている、まさに古民家の博物館です。

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園内にはところどころに古民家が建ち並び、昔の日本に来たかのよう。

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個人的に好きな建物がこちらの住宅。元々は17世紀末の山梨県に建てられた家。右と左の屋根の軒の高さが違っていたり、柱が曲がっているものを使っていたり、こういう建物がかっこ良く感じる今日この頃。左側の軒先の高さは1.5mくらい。昔の人でも低く感じたと思います。

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正面から見ると低い軒先がスタイリッシュ。実はこの建物が建てられた元の地域は風が強く、正面からの雨風を防ぐためにこの軒先の高さになっているとのこと。

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ほとんどの窓が軒先の低い正面側にしかついていないので、室内に入ると照明がついているにもかかわらずかなり暗い。入ったばっかりは目が慣れていないので、しばらく立ち止まっていないと何も見えないくらい。土壁や柱や梁など黒い木材、黒い建具も光を反射しづらいので、さらに暗さがアップしています。ひょっとしたら昔は正面に池や川があって、下からの反射光によって室内が照らされていたのかも、と考え込むくらい暗い。

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さらに特筆すべきものが屋根の上に。屋根のてっぺん(棟)に草を生やした、芝棟です。イワヒバという植物を植えてあるようです。寒い地方では防寒のために植えたらしいのですが、詳しいことはわかりませんでしたが、これもポイントが高い部分です。

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これはほんの一例ですが、昔の民家を見ると今の住宅と違って、建物の形自体が地域の特性に合わせ建てられています。今でいうパッシブ住宅そのものでした。こういう建物を見るとテンションがあがるようになっています。

20年ほど前、この民家園のすぐ横の学校に通っていたのですが、学生時代には素通りするだけで中に入ったことはありませんでした。あれから随分経ちますが、まさか民家園でテンションがあがるようになっているとは学生時代の自分には想像もつきませんでした。