価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

たてもの探訪【坪川家住宅(千古の家)】再訪

久しぶりのたてもの探訪。国道364号線山中温泉から福井県丸岡市に向かう山の中にあるこの建物。2010年に訪れて以来12年振りの再訪です。坪川家住宅、別名「千古の家」と呼ばれるこの建物は江戸時代初期に建築されたと言われています。建物というカテゴリーを超えた何か別のものかのような外観。

 

屋根を見上げるとこちらを見ているかのような屋根の形。分厚い茅葺屋根の曲線がなめらかで、屋根ではないかのよう。この屋根形状の見事さもあって、建築家で建築史家の藤森照信さんの著書の中で、国宝にしたい建築として代々木国立競技場とこの坪川家住宅が挙げられていました。

 

栗材の構造材のどっしり感と、煙でいぶされて黒くなった天井に囲まれた空間。外と内のコントラストによって、外の風景がとても綺麗に見えました。

 

柱や梁には手加工の跡で凸凹が。杉やヒノキなどの針葉樹と違い堅い栗材は表面を削って形を整えるためで、古い民家に見られるものです。

 

外の水を樋で引いて水が室内にきています。流し場という江戸時代の水道のようなものです。福井で産出される笏谷石(しゃくだにいし)を使った水桶です。

 

この坪川家住宅に併設してお蕎麦屋さんがあり、せっかくなのでいただいてきました。行かれた際にはぜひ!

 

500~600年程前から建っているこのお住まい。現在でも様々なイベント等に使われているとのこと。愛着を持って維持管理している方々が代々いるからこそでもあります。

 

ちなみに12年前のブログ記事を読むと、自分でも恥ずかしくなるような文章でした。多少絵文字を使わずに書けるようになったようです。