価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

たてもの探訪【吹屋の街並み】

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

お正月休みを利用して訪れたのは岡山県高梁市(たかはしし)。市街地から車でずっと山を登っていくと山の中に街並みを発見!DSC_0391.jpg

赤色に塗られた木部と土壁が印象的な「吹屋地区」。ここには古くから近くに銅山があることと、江戸時代には鉱山が開発されたことで、江戸時代中頃から明治時代にかけて今に残る街並みが形成されていったそうです。

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さらに鉱山から採れる鉄を原料としたベンガラという塗料の生産が盛んで、吹屋地区で生産されていた高品質のローハベンガラは現在でも日光東照宮の補修に使われるタイプのものです。そのベンガラを使用して街並みを赤く統一しています。

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さらに瓦は赤い石州瓦。ここ吹屋地区の建物は銅やベンガラで財をなした商人の邸宅の集合体ですが、それぞれが自由に建物を建てたのではなく統一された街並みルールを設け、それに沿って街並みを形成していったとのこと。景観法や地区計画といった街並みに関する法律ができるずっと以前に、景観を考えて独自のルールを作り実践した吹屋の人々。現代の街づくりがやっと追いつき始めているのかもしれません

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街並みから離れた小高い場所に、旧吹屋小学校がありました。2012年3月まで小学校として使われていたこの建物は1900年(明治33年)に建てられたものです。文化財として後世に伝えていくために保存修理工事を行っていました。100年以上も現役で役目を果たしさらに保存されていく建物。

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建物や街並みが長く残っていく要因として耐久性の問題や経済的、政治的な障害、災害などを乗り越える必要がありますが、最も大きな要因はそのものを残していきたいと願う人々の思いではないでしょうか。吹屋の建物はそんなことを教えてくれているような気がしました。