価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

2023.10.24 建築現場から

今日はお天気が良かったので会社を抜け出し中能登町の建築現場に。大屋根のファサードのお住まい。

 

外壁は印象的な焼杉を使用。自然素材ならではのランダムなテクスチャーで表面の炭化層は耐久性をアップさせてくれます。日本の建築の中で古くから使われる素材のひとつです。

 

リビングには勾配天井の登り梁を見せる仕様。内装工事はこれから仕上げに入っていく段階になっています。

 

現場の近くにあるこちらの建物。昭和15年(1940)に建てられた「滝尾日輪舎(たきおにちりんしゃ)」という施設です。

 

満州に開拓団を送るための訓練施設として建てられたもので、当時は日本全国に存在したようですが、全国で現存するのはこちらを含めて4棟のみ。ほぼオリジナルで残っている貴重な建物です。屋根は放射状になった梁で支えており、その梁を傘の骨のようになった部材で支えているとてもユニークな構造。残念ながら中は見ていませんが、看板の写真を見てもすごさがわかります。

石川県内にも古くから残る面白い建物があるので、仕事の合間に密かに見る機会を狙っています。

 

 

 

たてもの探訪【福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館】

福井県福井市に昨年開館した一乗谷朝倉氏遺跡博物館。通称「あさみゅー」。大小の並んだ屋根が特徴的です。戦国時代に一乗谷を本拠地としていた戦国大名朝倉氏の博物館です。

屋根も外壁もチタンで出来ているそうですが、昔の武家屋敷のようにも見えてくる外観。入口には福井産の笏谷石と思われる石板が。

 

館内は遺跡で発掘された当時の生活道具などが展示されています。

 

発掘調査で出てきた遺構をそのまま展示してあるスペースも。随分山の方にありますが、当時はここは湊だったようで、港湾施設のような場所だったようです。

 

朝倉氏の館を復元した模型。

 

なんと、博物館の中に館の一部を再現してあるスペースもあります。ぐるっと歩きまわれます。

 

歴史を体感できるとても面白い博物館。さらに建物図面の一部も見ることができて建築好きにもたまらない施設です。

また、近くには昔の城下町を復元した街並みもあります。

福井といえば恐竜博物館が有名ですが、その他にもこのあさみゅーや年稿博物館など面白い博物館があります。機会があればぜひ訪れてみては。

 

 

 

 

2023.09.11 鈴見町の家 社内検査

今週末から内見会を開催する金沢市鈴見町のお住まい。クリーニングの終わった後の社内検査を行いました。

遠方の山々まで望める見晴らしの良い公園前の立地。この風景を暮らしに取り込むために2階リビングに。

壁一面には有孔ボードが貼ってあります。フックをかけて色々なものをかけることができます。

 

こちらでは今週末16日から来週にかけて2週にわたって内見会を開催いたします。お気軽にご来場ください。

 

 

 

2023.8.27 分譲地から 金沢市「鈴見町郡家山」

金沢市内にて建築中のお住まい。弊社の鈴見町郡家山の分譲地の1区画です。お向かいが公園という立地。

こちらの郡家山は地区計画が規定されており、まとまりのある街並みとなるよう色合いや隣地からの距離などの決まり事があります。

お向かいの公園とその向こうの街並みを借景とする大開口。2階リビングならではの眺望の良さかもしれません。

ダイニング側にはカウンターがあり、こちらも眺めの良い場所となっています。まわりに自然が溢れる環境です。

とは言えこちらの郡家山地区は市街地からも近くスーパーも徒歩圏内。杜の里小学校までは400mと利便性の良い場所です。

残り1区画あるので、このような環境での暮らしをご希望の方は是非お問い合わせください。

少し高台にあるので足腰が鍛えられるというメリットもあります。

 

 

たてもの探訪【タカハマカフェin鳥取市】

灼熱のお盆休みに鳥取へ。急遽予定変更になり鳥取砂丘にオープンした隈研吾氏設計の「タカハマカフェ」へ。

 

壁にカタカナで書いてあるのでわかりやすい。構造や外壁などには地元産の杉を使っており、地産地消で地球環境にも優しいサステナブルな建築です。

屋上から見る景色。外気温が暑過ぎて無人状態。

 

外壁を見るとビスの穴を埋めてありました。建物全体でとんでもない数の穴を埋めてあります。このような細かい部分に丁寧な仕事をしてあるのを見ると、嬉しくなってしまう今日この頃。

 

実はこの前に訪れた鳥取の山奥にある国宝の三佛寺投入堂。一人で行ったのですが、一人は危険なので入山禁止になっているとのこと。泣く泣く比較的安全なこちらのタカハマカフェに。

次回はパーティーを組んで投入堂に挑戦したいと思います。

 

 

2023.8.5 現場から

昨日は金沢市内の現場でお手伝い。基礎工事が終わり上棟に向けた作業が進んでいます。

作業は「墨出し」といって基礎に墨でラインを書いていく作業。墨壺というメカで基礎にラインを書きます。

墨を含ませたヒモを引き絞って離すとパチンと良い音がします。許容応力度計算という構造計算に基づいた耐震性のため、ホールダウン金物という長いボルトも多めに入ります。

基礎に墨のラインがまっすぐに描かれました。

こんな感じであらゆるところでパチンパチンと墨を打っていきます。この墨出しの作業は何のためにするかというと。

基礎の上に置く土台の目印にするため。墨出しした線にそって土台を置いていきます。

本日現場に寄ってみると墨出ししたおかげで土台が整然と置かれていました。

 

私はちょいちょい建物の陰を探して、暑さをしのいでいましたが、炎天下の中でも黙々と作業をする大工さんはやはり凄いと思いました。まずは麦わらをゲットせねば。

 

 

 

 

2023.7.4 建築現場から

本日は完成間近の穴水町の現場にて社内検査を行いました。外壁は焼杉でまとめ自然の風合い。

平屋に腰屋根を設けています。この腰屋根は省エネ性の向上のためにも威力を発揮する部分。

抜かりなくチェック。今回は大工さんも飛び入り参加。大工目線からいろいろな提案がありました。

 

玄関のワンシーン。壁の珪藻土と木の素材感、床の大谷石など密度の濃い部分。床から入る光の入り方がとてもキレイです。

こちらは7月8日(土)9日(日)、15日(土)~17(祝月)と2週にわたり完成内見会を開催いたします。高い住宅性能と居心地の良い空間をぜひご体感ください。

 

 

2023.6.20 建築現場から

先日のお天気の良い日に行われた現場検査。お引渡しの前に全員でチェックを行うことになっています。傷や汚れがないかの確認や、施工方法が適切かを現地にて話し合う場になっています。

いろんな場所を確認しています。

その後、近くの別の現場へ。麦わらの一味のような大工さんが外壁の作業中。こちらで使ったのは焼杉の外壁です。黒い色は塗装ではなく杉が焦げた炭化層の色。

表面の凹凸が凄い。大工さんは切る時に飛ぶ炭の粉で顔が真っ黒になっていて、やんちゃ坊主感がハンパない。実は服も真っ黒に粉をかぶっています。

 

この焼杉は古くから用いられてきたものです。現在は色んな素材がありますが、昔からあるもので残っているものは、長い年月の中で実証実験が行われ残っています。ただし、このように作業中に顔が黒くなるなどのデメリットもあり、そんな素材でも嫌がらずに作業してくれる職人さんの協力がないと扱えない素材でもあります。

 

次回はどんな材料で大工さんを困らせようかと思案中です。

 

 

 

たてもの探訪【高田松原津波復興記念公園】

ここは岩手県陸前高田市東日本大震災津波による大きな被害を受けた場所の一つです。震災の追悼と後世への記憶の伝承、世界に対しての復興の発信の場として「高田松原津波復興記念公園」は造られました。「津波伝承館」と「道の駅高田松原」が併設されており設計は内藤廣氏。

鎮魂の場の起点となるトップライトと水盤。ここからまっすぐ海に向かう道が「祈りの軸」

祈りの軸をまっすぐ歩いて振り返ると公園全体が見渡せます。さらにその奥には復興を遂げる街並みも。

沿岸部で見かける海と陸を隔てる防潮堤。津波から街を守るための大規模なものです。

 

こちらにも震災遺構が残されています。手前は陸前高田ユースホステル。左手の川の向こうには気仙中学校が見えます。


コンクリート造の建物が折れ曲がるほどの津波の破壊力。自然の猛威の恐ろしさを実感します。

 

その傍らには高田松原の7万本の中で1本だけ残った松の木。奇跡の一本松と呼ばれ復興のシンボルとなりました。

 

津波伝承館では津波に関する展示や歴史を学ぶことができます。

 

「海を臨む場」からは津波が来た広田湾が望めます。この美しい風景が時として大災害をもたらすことになる。いつか来るかもしれないその時に備えて、国家プロジェクトとしての防災の在り方を東北のあちこちで見ることができました。

 

その備えは自然と対峙するようなハードによるものだけではなく、記憶の伝承や防災への意識といったソフトな面も同時に行うことの必要性。様々な災害に見舞られる昨今、自分自身防災への意識を持つことの大切さを学びました。

 

 

 

たてもの探訪【石巻の建築巡り】

ここは宮城県石巻市北上川のほとりにある石巻市かわまち交流センター(かわべい)、隣にはいしのまき元気いちばがあるエリアです。堤防の上に建っている小さな建物を発見。

 

萬代基介氏が手掛けた「石巻の東屋」。木のルーバーで囲まれた空間に大きなテーブルが置いてあるシンプルな建物です。

 

椅子に腰かけると贅沢な風景を独り占め。テーブルと屋根に切り取られた景色を眺めながら、お弁当を広げる人が見受けられました。

 

対岸に見えた建物は石ノ森萬画館仮面ライダーサイボーグ009で知られる宮城県出身の漫画家、石ノ森章太郎先生の漫画ミュージアム。石ノ森先生デザインによる建物です。

 

こちらでも以前は川沿いに建物が立ち並んでいましたが、震災後は街を津波から防御する大きな堤防が作られて景色が大きく変わっています。

 

さらに車で少し行くと白い大きな建物が。震災で被災した市民会館などの機能を合わせて作られた「マルホンまきあーとテラス」。藤本壮介氏による博物館や文化ホール、市民ギャラリーなどが入る複合文化施設です。復興のシンボルとして期待された建物でもあるそうです。

館内には様々な居場所が散りばめられており、自分の好きな場所を探す楽しみも。それにしてもかなり大きなドアがありました。

 

最近フルハイトドアといって天井までの高さのドアを使うことがありますが、こちらはそんなレベルでは収まり切りません。開くのかどうか。

 

そんなこんなの東北の旅ですが、行く先々で様々な建物に出会えるので滞在時間が足りなくなります。次回のたてもの探訪は東北の旅の終点、陸前高田です。

 

 

 

たてもの探訪【道の駅 さんさん南三陸】

ここは宮城県南三陸町。東北巡りで立ち寄ったのは、昨年秋にオープンした多くのお店や施設が集まった道の駅。お店のエリアは南三陸さんさん商店街。

 

寿司屋やカフェ、雑貨屋、コンビニもありました。木をあしらったデザインで統一。

 

展望台から見るとどの建物もまるで海の家のようになっているのがわかります。

 

こちらは東日本大震災伝承館「南三陸311メモリアル」。震災の経験を共有することで防災について考えることや資料の展示などを行っています。志津川駅も建物内に。これらのグランドデザインは隈研吾氏。

 

道の駅内には被災した防災対策庁舎が震災遺構として残されています。先ほどの商店街や311メモリアルから低い位置に見えますが、これは新たな街を地面をかさ上げして作っているため。盛り土をして10mほど高くなったところに新たな街を作っています。

 

震災から10年以上経っており、新しい街並みがキレイに整備されている中、このような震災遺構が各地で保存されていました。これらを目の当たりにし、自分事として防災について考える機会となりました。

 

建物探訪【旧帝国ホテル 中央玄関】再訪

犬山市にある明治村。60棟を超える明治時代の建物が移築保存されている建物のテーマパーク。様々な建物があちこちに建てられています。

その中でも行きたかったのは旧帝国ホテルの中央玄関。建築家のフランクロイドライトが設計したものです。前回は2012年に訪問したので、10年以上経っていました。

建物内はタイルと大谷石で重厚な雰囲気。光の陰影がとてもきれいです。

人が座る場所は天井がかなり低く、自然と外に目線がいくような高さに窓を配置。大きな建物ですが、こじんまりとした心地よく感じる場所があちこちに散りばめられています。

ふと発見したこの場所。暗い場所にフワッと現れた明るいスペース。奥には窓があるので明るいのですが、ここら辺には窓がないはず。

トップライトからの光でした。光の操作がとっても素敵です。

 

久しぶりに訪れた旧帝国ホテルですが、以前気づかなかったことが色々ありとても勉強になりました。以前、光の陰影をうまく採り入れることで奥行のある豊かな空間になると、学校の先生に教わりましたが、それが実体験として感じることができる場所でした。

 

3時頃について閉園の5時まで色々見て回りましたが、建物の半分も見ることができませんでした。次回は早めにきてリベンジしなければと、決意を新たにしました。