価値ある住まいをデザインする

石川県の建築会社「中部ジェイ・シィ」のブログ

たてもの探訪【山田社宅】

ここは愛媛県新居浜市。この近くには1690年~1973年までの283年間に渡り稼働していた、住友グループが経営する別子銅山がありました。訪れたのは別子銅山で働く人のための社宅「山田社宅」です。

山田社宅 (1)

1929年から開発が始まったこの一帯は平屋建て、平均の敷地面積が100坪ほどで統一されています。このように昭和初期の建物が、当時の街並みのまま残っているのは非常に珍しいとのこと。

山田社宅 (4)

区画によって建物形状が異なっていて、色々なタイプの平屋が建っています。高さを抑えることで明るく、開放的な住宅街になっています。

山田社宅 (2)

きれいに整備された道路が碁盤の目のように計画されおり、ここの住宅街を特徴づける垣根がずっと続いています。板塀やブロック塀では圧迫感があることや、通風を確保することから垣根で統一されているようです。敷地の角には隅切りがつけられていて、今の宅地造成に通じるものがあります。

山田社宅 (3)

自然を活かすような敷地計画で統一されており、自然石の石垣がとても味があります。敷地の北側に建物を寄せてあり、南側を大きく空け明るい庭スペースが確保されています。

山田社宅 (5)

中には特に大きく綺麗に整備されているお宅がありましたが、やはり木のある家は趣があって好きです。

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こちらの住宅群は古くから残る貴重な文化財ですが、老朽化により取り壊されているものも多数ありました。今の宅地造成にも参考になる点が沢山ある貴重な財産。ぜひ後世に伝えて欲しいと思います。